【コラム】タイトルを逃したドゥカティ、残りのシーズンに希望はあるのか

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2021年第16戦エミリア・ロマーニャGPでは、ドゥカティのフランチェスコ・バニャイアの転倒によって、ヤマハのファビオ・クアルタラロのMotoGPチャンピオン獲得が決定した。ドゥカティは二輪レースの頂点の座をまたもや逃してしまった。

しかし、シーズンも残り2戦となった今、ドゥカティが2021年シーズンの成功を取り戻すチャンスはまだあるのだろうか?その成功とは何かを示す最も分かりやすいものが、ポルティマオとバレンシアにおいてバニャイアに残された最も易しい目標、すなわち2020年の勝者であるジョアン・ミルからチャンピオンシップ2位を守ることだ。

27ポイントのリードを持ってポルティマオに臨むバニャイアは、クラッシュはしたものの比較的安定した走りを見せており、また、今年のミルはレースペースを欠いていることから、この目標を達成できる可能性は高い。ミサノではチームメイトであるジャック・ミラーもバニャイアと同じようなクラッシュをし、結果的にミルとのポイント差を広げただけでなく、ドゥカティサテライトチームのヨハン・ザルコにも抜かれてしまった。今の彼らには、クアルタラロに続くチャンピオンシップの表彰台を確保するという目標は非常に重要である。

ファクトリーライダーであるミラーにとって、ドゥカティ勢の2位の座を争うザルコは厄介な存在に違いないだろう。しかしザルコのようなサテライトライダーの成功は、ドゥカティに2021年のシーズンを成功に導く最大のチャンスを与えてくれたと言える。というのも、ドゥカティはマニュファクチャラーズタイトルの獲得に向けて非常に良い位置におり、2レースを残した時点でヤマハに12ポイントの差をつけている。

MotoGPのグリッド上にはドゥカティのマシンが6台あり、数の多さはマシンの性能の高さと同じくらい良い効果をもたらしているといえるだろう。シーズン序盤は、プラマック・レーシングのザルコがポイントを稼ぎ、ルーキーのチームメイトであるホルヘ・マルティンがオーストリアでセンセーショナルな勝利を収めてポイントを加算した。また、同じくルーキーのエネア・バスティアニーニの活躍も目覚ましい。前回のミサノでは、ファクトリーマシンが目の前でクラッシュしたときに、このMoto2チャンピオンがレースを盛り上げてくれた。

また、チームランキングの行方も気になるところだ。モンスターエナジー・ヤマハがトップに立っているのは、新チャンピオンのクアルタロの功績によるところが大きい。3レースを除くすべてでヤマハ勢の最高位となり、チームの364ポイントのうち267ポイントを獲得している。そしてヤマハはマーベリック・ビニャーレスが離脱し、後釜のフランコ・モルビデリも怪我からの回復に時間を要している。つまりドゥカティに対し13ポイントのリードを持っているものの、ほぼ単独で残り2戦を戦うこととなる。

実際のところ、ケイシー・ストーナーが初めて、そして今のところ唯一のタイトルを獲得した2007年以来、ドゥカティにとってタイトル獲得の最大のチャンスであったが、ライダーたちの一貫性のなさがそれを台無しにしてしまった。

幸いなことに、年々安定感を増しているバニャイアのおかげで、トンネルの終わりには光が差し込んでいる。しかし、今シーズン間違いなく開かれていたゴールを逃したことを、もしかすると何年たっても悔やむことになるかもしれない。

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